Part1 Section 09 導入・活用のポイント

Slack導入と活用の鍵になる5つのポイント

ただ導入してもうまくいくとは限らない

デジタルシフトを目的にSlackを導入しよう、と思ったら、導入と社内での普及のために考えたい点がある。Slackは自由度が高いぶん、ただ導入して置いておくだけでは、期待どおりに活用されるようにはならない。どのように使いたいか、そのために何が必要かをイメージしておきたい。

ここでは、重要な点を5つに絞って挙げていく。パート2からの事例では、各社がそれぞれの点をどのように考え、取り組んだかも紹介していくので、参考にしてほしい。

1.リーダーが多忙になることを覚悟する

デジタルシフトで目指すのは、情報共有や意思決定を高速かつ俊敏にし、業務の効率を上げ、生産性を高めることだ。これらが進むことで、オープンに情報共有され、フラットに議論が行われ、風通しのいい社風へと変わっていくことも期待できる。

このような変革は、経営者などのトップ、および各部門長やマネージャーといったリーダーの負荷を結果的に増やす面もある。単純にラクになるわけではないと覚悟のうえで、業務の目的を最短距離で達成する手段も同時に検討していきたい。

すべてをリーダーが受け止めるのでなく、部下に裁量を渡していくことで、負担を集中しないようにもできる。そのような判断をしている企業の事例もパート2では紹介しているので、参考にしてほしい。

2.ボトムアップで自由に使ってもらう

リーダーは多忙になることを覚悟することと同時に、自分で使い方を規定しすぎて、部下に押し付けてしまわないことも大切だ。

Slackのようなツールは、ユーザーであるスタッフひとりひとりが楽しんで、工夫しながら「勝手に使う」状態にならないと、本当の意味では浸透していかない。

ボトムアップで浸透させていくには、率先して使い、周囲に使い方を広めてくれるメンバーを見つけられるといい。リーダー自身が広める役でも構わないが、権力を持って周囲に使わせるのでなく、あくまでもいちユーザーの視点で広めていくのがポイントだ。

パート2で紹介する事例の中では、一部のスタッフの熱意から広がっていったケースもあれば、トップが導入を決定し、率先して利用していたスタッフを「アンバサダー」に指名したケースもある。

3.オープンなやりとりを徹底する

Slackではオープンなチャンネルを使うことが大事だ、とすでに何度も述べているが、何の説明もせずSlackを導入すると、メールの感覚に近いDMを中心に使われることが多い。オープンなやりとりのためチャンネルを使うことを前提として、あらかじめ共有しておきたい。

オープンに情報を共有することの意義は、短時間では実感しにくい。それに、オープンにすることで思わぬ人が見て「ツッコミ」を受けることを危惧されるかもしれない。

それでもオープンにしたほうがいいので、導入当初は半ば強制的に「オープンなチャンネルを使い、DMは禁止」のようなルールを設けてもいいかもしれない。パート2の事例でも、そのようなエピソードを紹介している。

4.緊急時への対応プラン「BCP」を意識する

「BCP」(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、自然災害やテロ、伝染病の流行といった緊急事態に遭遇しても、被害を最小限に留めて事業を継続、または早期復旧するためのプランのことだ。

ここで話は本章の冒頭に戻る。コロナ禍の中においては、テレワークで感染拡大を防ぎながら生産性を維持・向上できる体制を準備しておくことが、有効なBCPだといえる。仮に今回のコロナ禍がこのまま収束したとして、次に同様の事態が生じたら、自社ではどのような対処ができるだろうか?

もちろん緊急事態は感染症だけではない。地震や台風などの自然災害が、いつ自社を襲うかもわからない。オフィス空間にとらわれずオンラインで働けることで、どのような状況にも対応し、事業を継続できる可能性は高まるだろう。

デジタルシフトは生産性を高めるだけでなく柔軟な働き方を可能にするのだから、これから取り組む際には、緊急時の事業継続プランとしてどのように役立てるか、という視点も持っておきたい。パート2で紹介する事例はすべて2020年8~9月に取材を行っているが、いずれの企業・組織もコロナ禍を乗り越えて事業を継続している。

5.新しい技術やツールに目を向ける

Slackはチャットを中心としたツールだが、単なるチャットとしてのみ使うのはもったいないほど、拡張性が高い。使い慣れてきたら、もっと業務改善に役立つ使い方はないかと情報を収集するようにすると、きっと新しい発見があるはずだ。

アプリ連携による機能拡張もその一例だが、それだけではない。自社が持つシステムと接続してSlack上で利用することも可能だ。自前での開発が必要になることもあるが、そのような事例も紹介していく。

COLUMNエンタープライズ用途にも対応できる機能とセキュリティ

Slackの導入を検討する際、機能や使用感とともに、自社の規模やセキュリティポリシーへ対応可能かどうかも、はじめに知っておきたい点だろう。Slackには無料の「フリー」から大企業向けの「Enterprise Grid」まで4段階のプランがあり、国内外の大手企業、グローバル組織でも多くの導入実績がある。ほとんどの企業で、問題なく導入が可能だと考えられる。

最上位プランのEnterprise Gridは、その名のとおりエンタープライズ(大規模組織)向けに柔軟なコラボレーション機能や拡張性、高水準の安定性やセキュリティが確保されたサービスとなっている。

パート2の事例の中でも、NTTドコモや三菱重工といったEnterprise Grid導入企業の事例を紹介するので、参考にしてほしい。

このコンテンツは、インプレスの書籍『Slackデジタルシフト 10の最新事例に学ぶ、激動の時代を乗り越えるワークスタイル変革(できるビジネス)』の内容をWeb向けに再構成したものです。
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