217 AdWordsの分析

検索クエリに対して適切な広告が表示されているかを検証する

筆者の属する株式会社プリンシプルでは、リスティング広告の運用代行サービスも提供しています。その商談において顧客のAdWords(現:Google広告)のアカウントを診断することがありますが、多くのアカウントで、検索クエリに対して表示する広告が上手く制御できていない事象を見かけます。その事象の有無を確認するためのカスタムレポートを紹介します。

カスタムレポートの設定内容

要素名内容
種類フラットテーブル
ディメンション検索クエリ
AdWords広告グループ
広告のコンテンツ
クエリのマッチタイプ
指標クリック数
費用
クリック単価
セッション
新規セッション率
トランザクション数
収益
eコマースのコンバージョン率

検索クエリに対して適切な広告が表示されているかを検証する - できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版

上記のカスタムレポートを作成後、フィルタの入力フィールドに「^調べたい検索クエリ$」と入力します。例えば「^できるシリーズ$」という具合です。結果が1行しか表示されなければ問題ありません。ただし、次のページにあるような複数行が表示された場合は問題です。

検索クエリに対する広告の設定が不適切な例

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この例では「できるシリーズ」という検索クエリに対して、異なる4つの広告グループから3つの広告文が掲載されています。それぞれのコンバージョン率も異なるとすると、もっとも優秀なものに寄せるべきです。こうした不適切な設定によって起こる問題は以下に集約できます。

メッセージ面

検索クエリに対して意図した広告文を「必ず」表示できていません。

パフォーマンス面

もっともROIの高い広告をユーザーにクリックしてもらえていません。

アカウント設計面

Googleでは広告グループをあまり細分化せず、インプレッションやクリックを集中させたほうが、品質スコアの計算に使われる「想定クリック率」を確度高く推定でき、そうでない競合の広告グループよりも有利になる、としています。従って、1つの検索意図を持つ検索クエリに対しては、1つの広告グループからのみ広告を掲載したほうが有利、ということになります。

いずれも深刻な問題となりうるので、ここで作成したカスタムレポートを定期的に確認し、設定の見直しを習慣づけましょう。また、この方針は社内の統一見解として共有すべきです。

ポイント

  • 1つの広告グループから、複数の広告文をローテーションで掲載することは「広告テスト」と呼ばれる手法であり、問題ありません。ここでは「異なる広告グループから広告が掲載されていないか?」を確認してください。
  • ここで作成したカスタムレポートは、「どの検索クエリに対して、どの広告グループから広告を掲載するか?」といったアカウント設計にも役立ちます。
  • このカスタムレポートのディメンションのうち、「広告のコンテンツ」を「キーワード」に変更すると、「AdWordsで設定したどのキーワードがユーザーの検索クエリにマッチしたのか?」がわかります。

ユーザーの検索意図は検索クエリに現れます。その検索意図に沿って、自社が意図した広告を掲載できているかを確認しましょう。