できるネット編集部より:子どもを見守るGPS端末「まもるっく」の使い方や体験レポートを紹介。元小学校教員のITジャーナリスト、高橋暁子さんによる連載の第8回です。
まもるっく 使い方のレポート&操作解説の記事一覧

こんにちは。高橋暁子です。

ALSOKの見守りGPS「まもるっく」では子どもの居場所を検索できますが、GPSの特性のため、誤差が生じてしまうことがあります。例えば、本当は小学校にいるのに、離れた区画の商店街にいることになっている、といったケースです。

これはまもるっくに限らず、GPSを利用するあらゆる端末で起こる現象ですが、使い方を工夫することで、うまく対処できます。今回はGPSの特性と、正確な位置を測定できない場合の使い方のコツを解説します。

まもるっく:GPSの特性と設定

子どもの現在位置を検索したら、いるはずのない場所に......? GPSの誤差が原因かもしれません。

GPSは屋内やビル街の位置測定が苦手

スマートフォンやカーナビなど、まもるっく以外の多くの端末にも搭載されている「GPS」。GPSとは「Global Positioning System」(全地球測位システム)の略で、GPS衛星からの電波を受信することにより、地球上のどこにいても現在位置を測定できます。

しかし、GPSには苦手とする環境があります。地下や屋内、特に学校のようなコンクリートの建物の中では、GPS衛星からの電波がさえぎられて、精度が低下してしまうのです。

まもるっくでは、現在位置を検索したときに[GPS精度高]または[GPS精度低]と表示され、位置情報の誤差の目安を知ることができます(第5回で解説)。[GPS精度高]の場合は、GPSを使って高い精度で位置が測定できています。

一方、[GPS精度低]の場合はGPS衛星からの電波を受信できず、近隣の携帯電話基地局と通信して、おおまかな現在地を測定しています。それぞれの場合の誤差は、次のようになります。

  • GPS精度高:数メートルから500メートル程度
  • GPS精度低:数百メートルから数キロメートル、またはそれ以上

なお、高層ビルなどの高い建物が近くにある場所では、GPS衛星からの電波が反射して誤差が生じる場合があります。そのため、市街地では屋外にいて[GPS精度高]と表示されていても、少しずれてしまうことがあります。

まもるっく:GPSの特性と設定

まもるっくで現在位置を検索したところ。GPSの精度が表示されています。

[GPS精度低]のときは誤差の傾向に注目

私は小学2年生の息子がどこにいるのか確認しようと、まもるっくの現在位置検索をよく使いますが、子どもの居場所によって位置測定の精度はかなり変わるようです。

例えば小学校にいる時間帯では、小学校から100mほど離れた場所に表示されることがよくあります。いるべき場所に表示されないと最初はドキッとしますが、[GPS精度低]と確認できれば、位置のずれはGPSの精度の問題だと納得できます。

そして、何度か利用していると、位置情報の誤差にはだいたいの傾向があることがわかってきます。たいていの場合、屋内やビル街の同じ場所では、位置の誤差は毎回同じようになります。例えば「ビルの中にある塾にいるときは、100m離れた公園に表示される」といった具合です。

まもるっく:GPSの特性と設定

オフィスビルの中にある編集部に置いたまもるっくの現在位置を検索したところ。多くの場合、本来の位置(地図上の[三井ビル])よりも100mほど北東にずれて表示されます。

エリア出入通知では誤差を含めて範囲を設定

位置情報の誤差と関連して、「エリア出入通知(第6回で解説)を設定したのに、通知が届かない」という現象が起こることがあります。これは多くの場合、設定したエリアと、その場所にいるときに測定される位置がずれて、エリアへの出入りが正確に検出できないことが原因です。

誤差の傾向を考慮して、よくずれて表示される範囲までカバーできるように、エリアを広めに設定するようにしましょう。

まもるっく:GPSの特性と設定

エリア出入通知の設定では、誤差の傾向を考慮してエリア範囲を広めに設定しておくことで、出入りを適切に検出できるようになります。[エリア範囲を大きく]と[エリア範囲を小さく]をクリックして範囲を調節します。

HINT誤った通知が届くときは本体の設定を確認

エリア出入通知で、誤差の影響により実際には行っていないエリアの出入りが通知されてしまうなどの現象が起こる場合は、本体のエリア測位設定を確認しましょう。

本体のエリア測位設定は、エリア出入通知に基地局情報を使用するか、しないかを切り替えます。初期設定では[基地局使用しない]で、GPSの精度が低い場所では位置情報を測定できず出入りを検知できないない場合もありますが、誤差が大きな状態で測定されて間違った出入りの通知が行われる可能性は減ります。

[基地局使用する]に設定した場合、測定はできる代わりに誤差が大きくなり、間違った通知が増える可能性があります。間違った出入りの通知がひんぱんに届く場合は、[基地局使用しない]に戻すといいでしょう。

まもるっく:GPSの特性と設定

本体のエリア測位設定を確認・変更するには、本体左側のメニューボタンを押してメニューを表示し、音量ボタンを1回押して[エリア測位設定]選択した状態で、本体右側の電源ボタンを押して決定します。
画面が切り替わったら[基地局使用しない][基地局使用する]のどちらが選択されているかを確認します。メニューボタンか音量ボタンを押して選択を切り替え、音量ボタンを押すと変更できます。

子どもの行動範囲のGPS精度がわかると安心

GPSを使った見守り端末では、ある程度の位置情報のずれは避けられないもの。まもるっくの使い始めでは、子どもの移動に合わせて、さまざまな場所で現在位置検索を試してみるといいでしょう。

学校や塾など、子どもがよく行く場所のGPSの精度はどうか、どのような誤差が生じるのかを事前に知っておくと、あわてずに済みます。エリア出入通知の設定は少し複雑ですが、予定どおりに通知が届かないときは、エリア範囲が誤差を含んだものになっているか確認しておきましょう。

まもるっく:GPSの特性と設定

期待どおりに位置情報が測定できないこともありますが、誤差についてわかっていれば安心できます。

提供:ALSOK

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