「できる」のに示せなかった10年前

『できる逆引き Googleアナリティクス』『できる100の新法則 Tableau ビジュアルWeb分析』を執筆した木田和廣です。できるシリーズ25周年、おめでとうございます。

私は、株式会社プリンシプルというデジタルコンサルティング会社の取締役をしており、Googleアナリティクスを中心に利用したWeb解析コンサルティングを提供する、現役のコンサルタントでもあります。

今でこそ、セミナーへの登壇、Webメディアでの連載といったさまざまなお仕事を、ありがたいことに私を指名してご依頼いただく機会がありますが、10年前は違いました。自分では「Googleアナリティクスの知識が十分にある」「お客さまに喜んでもらえるアドバイスが絶対にできる」と思っていましたが、まったく声をかけてもらえなかったのです。

正直、焦っていました。

なんとか集客しようとセミナーを開きましたが、出席者が1人だけだった、という体験もしています。振り返ると、自分は「ガラス板の上を全力疾走する猫」のようでした。

何が変えたのか......それが私にとっては書籍執筆でした。

書籍を出したい方への3つのヒント

きっと今、10年前の私のような状況の人がたくさんいると思います。

自分では「できる」と思っていても、それを示す機会がない

誰もが書籍を出せるわけではありませんが、後輩たちから「どうしたら書籍を出せますか?」と聞かれたときの私の返事が、以下の3点です。

インプットとアウトプット

書籍を通じて読者に何かを伝えるわけですから、その「何か」がなければいけません。当たり前ですが、インプットがもっとも重要です。

私の場合は、いっとき日本語・英語を含め、Googleアナリティクスと名の付く書籍は全部読みました。もちろん、その中には大内範行さんの著書『できる100ワザ Google Analytics』も含まれています!

木田和廣さんの本棚

木田さんが「インプットとして読みまくった」という本。Web解析はGoogleアナリティクスのことだけわかればいい......というわけではないため、SEOやネット広告、データベースやサーバーサイドの技術書も並んでいます。

一方で、アウトプットもしないと、あなたの「できる」は世の中に伝わりません。ブログでもいいし、Kindle本の執筆でもいいので、継続的な、あるいはまとまったアウトプットが必要だと思います。私の場合は、Googleアナリティクス公式コミュニティへの回答がアウトプットでした。合計2,500回くらいは回答したと思います

「半歩先」のみんなが知りたい分野

まだポピュラーになりきっていないけれど、少し先の将来、きっとみんなが知りたくなる分野。

そうした分野には参入者が多くなく、一番になれる可能性が高いです。書き手が少ないので、もしその分野がブレークすれば、書籍を出せるチャンスは高いと思います。

今からGoogleアナリティクスに参入して一番になるのは難しいですが、「Googleオプティマイズ」(A/Bテストツール)ならどうでしょう? そんなアンテナを立てておくといいと思います。

インプットからアウトプットを高速に

私がGoogleアナリティクスに初めて触れてから『できる逆引き Googleアナリティクス』を出すまでに6年かかりました。

私がTableauに初めて触れてから『できる100の新法則 Tableau ビジュアルWeb分析』を出すまでは2年半です。

テクノロジーの栄枯盛衰サイクルは早くなっているので、1つのことをじっくりインプットしてからアウトプットしよう、では遅い可能性があります。「この分野で」と決めたら、集中してインプットとアウトプットをするといいですね。

きっとあなたも書籍を出すことが「できる」。

そして、それはあなたの人生を良いほうに変えてくれるはずです。次はあなたの番です。


木田和廣(きだ かずひろ)

木田和廣(きだ かずひろ)
株式会社プリンシプル 取締役副社長

早稲田大学政治経済学部卒業。豊田通商、カービューを経て、Web解析業界でのキャリアをスタートする。2009年からGoogleアナリティクスに基づくWeb解析コンサルティングに従事し、個人資格「GAIQ」を継続保有。2015年、Googleアナリティクス公式コミュニティで日本初の「トップコントリビューター」に認定される。
BIツールのTableau(タブロー)もWeb解析に積極活用。2017年には上級資格「Tableau Desktop Certified Professional」を取得するとともに、Tableauを極めし者「Tableau Jedi」の称号を得る。アナリティクス アソシエーション(a2i)や個別企業でのセミナー登壇実績多数。趣味は釣り。

できるシリーズの著書

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