【Excel講師の仕事術】自己流のエクセル、卒業しませんか? この連載では、エクセルを操作するときの「ルール」を決めることで、ミスを減らして業務を効率化していく仕事術を解説します。

ルール 07
列はグループ化、行の非表示は禁止
多用しがちな非表示はミス発生の温床となる

行や列の非表示は気付きにくい

表の見出しの項目数が多くなると、一部の行や列を非表示にしないと操作しづらいことがあります。しかし、非表示にしたまま上書き保存をしてしまうと、別の人がファイルを開いたとき、どの行や列が非表示なのかがひと目では分かりません

そこで、以下の2つのルールを徹底してください。

  • 列の非表示は「グループ化」の機能を使う
  • 行の非表示はいかなる場合でもしない

理由について、まずは列から見ていきます。非表示というと、以下がオーソドックスな方法と考える人が大半だと思います。

列の非表示

エクセルの行・列の非表示はミスの温床! 列にはグループ化を活用しよう【Excel講師の仕事術】

非表示にした列

エクセルの行・列の非表示はミスの温床! 列にはグループ化を活用しよう【Excel講師の仕事術】

これで意図通り、列を非表示にできました。しかし、上図の非表示にした列を見てD~F列が非表示であることに気付けるかというと、操作した本人以外は無理でしょう。何も知らずにファイルを開いた人が、非表示であることを見抜くのは至難の業です。

そこで、列を非表示にしたいときは、ちょっとややこしいのですが、非表示ではなく「グループ化」という機能を使ってください。列を選択したうえで、[データ]タブから操作します。

列のグループ化

エクセルの行・列の非表示はミスの温床! 列にはグループ化を活用しよう【Excel講師の仕事術】

グループ化した列①

エクセルの行・列の非表示はミスの温床! 列にはグループ化を活用しようExcel講師の仕事術】

グループ化した列②

エクセルの行・列の非表示はミスの温床! 列にはグループ化を活用しようExcel講師の仕事術】

列をグループ化すると、グループ化されていることを示すアウトラインと、グループを展開・折りたたむためのボタンが表示されます。単に非表示にするよりも、明らかに分かりやすいですよね。これが、非表示ではなくグループ化を使うべき理由です。

ちなみに、グループ化は2段・3段と重ねて使うこともできますが、非効率なのでやめましょう。そもそも1段であっても、グループ化は多用すべきではありません。やむをえない場合を除き、使用は控えてください。

行は非表示もグループ化もしてはいけない

次に行ですが、行の非表示(グループ化も含みます)はいかなる場合でも禁止です。理由は2つあります。1つは、非表示の行に対してもオートフィルが適用されてしまうからです。

次に挙げる例では、下の行に向かって曜日をオートフィルで入力していますが、途中に非表示の行があります。気付かずに実行すると、非表示の行にも連続した曜日が入力されました。

この例では特に問題にはなりませんが、非表示の行にもともとデータが入力されていると厄介です。オートフィルによって元データが上書きされ、しかも、それに気付かないことが起こりえます。そのまま上書き保存して閉じてしまったら大変です。

非表示のセルのオートフィル①

エクセルの行・列の非表示はミスの温床! 列にはグループ化を活用しようExcel講師の仕事術】

非表示のセルのオートフィル②

エクセルの行・列の非表示はミスの温床! 列にはグループ化を活用しようExcel講師の仕事術】

もう1つの理由は、不要なデータが非表示の行に残り続けることのリスクです。以下の部品出荷台帳では、工場ごとの表の1行目で、経費などの合計がSUM関数によって求められています。

ここで[経費]列の[渋谷合計]行と、個々の部品の経費を表すセルD6~D10を選択したときのステータスバーの合計値を見比べてみます。両者は一致するはずですが、何かが間違っています。

非表示のセルに残った不必要なデータ①

エクセルの行・列の非表示はミスの温床! 列にはグループ化を活用しようExcel講師の仕事術】

よく見ると、11行が非表示になっています。表示してみましょう。

非表示のセルに残った不必要なデータ②

エクセルの行・列の非表示はミスの温床! 列にはグループ化を活用しようExcel講師の仕事術】

前に作業をした誰かが、[その他]行を非表示にしていました。この行は経費の渋谷合計に入力されたSUM関数にも含まれているため、合計値がおかしくなっていた、というわけです。

その誰かは[その他]行を不要と判断したものの、データを削除することには不安を感じ、非表示にしたのかもしません。しかし、それによって計算結果の整合性が崩れたうえ、原因となる数値を隠す行為につながってしまいました。

このように、行の非表示はミスが発生する原因になるだけでなく、原因そのものを隠して気付きにくくさせるという、二重の意味で恐ろしい操作になります。絶対にやらないようにしましょう。

まとめ
  • 列のグループ化はOKだが、多用は控える
  • 行の非表示は被害が大きいため、絶対に避ける

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