本コンテンツでは、無料で使えるBIツール「Googleデータポータル」(旧:Googleデータスタジオ)の使い方を連載形式で解説していきます。
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IoT機器からのデータをリアルタイム集計

前回、第19回ではコロナ禍を踏まえたGoogleデータポータル活用の一例として、「リアルタイムのオフィス内人数を把握するダッシュボード」を紹介しました。

連載第20回となる今回は、よりリアルタイムの醍醐味を感じられるダッシュボードの例と、それを実現するための仕組みについて解説します。

まずは、以下のダッシュボードをご覧ください。リンク先から実際にデータポータルでも見られるようにしています。

20.【Googleデータポータル】タイムスタンプデータ活用 ライブデータのリアルタイム表示

【Googleデータポータル】リアルタイム集計ダッシュボードの発展型。BigQueryとの連携でここまでできる

このダッシュボードでは、とある施設の一角に設置したIoT機器が計測した、リアルタイムでの「人の交通量」データを視覚化しています。

そして、データソースにはGoogleのデータベースサービス「BigQuery」(ビッグクエリー)を利用しました。データポータルでは、このようにBigQueryと連携したダッシュボード構築も可能になっています。

BigQueryでビューを定義する

データポータルとBigQueryを接続するには、これまでと同じようにコネクターを選択するだけなのですが、BigQuery側で「ビュー」を定義しておく必要があります。

BigQueryのビューとは、「SQL」という言語で記述するクエリ(データベースへの問い合わせ)によって定義される仮想テーブル(データのまとまり)のことです。イメージとしては、Salesforceとの連携時にSalesforce側でレポートを作成しておくのに違いです。

【Googleデータポータル】リアルタイム集計ダッシュボードの発展型。BigQueryとの連携でここまでできる

BigQueryの画面です。データのまとまりであるビューを定義し、それをデータソースとしてデータポータルで取得しています。

BigQueryを扱う上での注意点は、データの引き出し量に応じた従量課金となることです。ダッシュボードは頻繁にデータの取得をリクエストするため、何度も、たくさんのデータを引き出すと課金額が大きくなってしまいます。

そのため、クエリを記述する際は、必要最低限のデータになるようビューを定義し、取得期間も過去30日程度など、実務上影響のない範囲としてください。

今回のサンプルダッシュボードでは、過去8日分だけに限定してデータを取得するようにBigQuery側で指定してあります。8日分にしているのは、後述する「前週同曜日との比較」ができるようにするためです。

ダッシュボードの更新頻度を設定する

サンプルダッシュボードにおけるデータフローを表すと、下図のようになります。

【Googleデータポータル】リアルタイム集計ダッシュボードの発展型。BigQueryとの連携でここまでできる

IoT機器からは、交通量の計測後、随時BigQueryにデータがアップロードされる仕組みになっています。データポータルにおけるダッシュボードの「編集権限」所有者であれば、画面上の[更新]ボタンを押すことで、最新のデータをBigQueryから取得できます。

【Googleデータポータル】リアルタイム集計ダッシュボードの発展型。BigQueryとの連携でここまでできる

ダッシュボードの「編集権限」所有者は、任意のタイミングでデータを更新できます。

冒頭のリンク先にあるダッシュボードは、みなさんへの公開用として「閲覧権限」にしてため、[更新]ボタンは表示されません。ただ、データソースの更新頻度は「1時間」に設定してあるので、ほぼリアルタイムのデータが見られるようになっています。

【Googleデータポータル】リアルタイム集計ダッシュボードの発展型。BigQueryとの連携でここまでできる

データの更新頻度は、データポータル上で「1時間」に設定してあります。

データポータルで「前週同曜日との比較」を求める

今回のサンプルダッシュボードは、サンプルといえども実用面を意識したものになっています。

交通量を計測できるわけですが、例えば小売業なら、自店舗の前における「1日の交通量」が見えてくると、「では、先週の同曜日の交通量と比較してどうだったのか?」が気になってくるかと思います。

こうした「前週同曜日との比較」がリアルタイムで可能になっているのが、このダッシュボードというわけです。

ただ、データポータルには「前週同曜日との比較」という条件がありません。BigQuery側でのビューの定義で何とかすることもできますが、実現カロリー(手間)がかかりすぎます。

【Googleデータポータル】リアルタイム集計ダッシュボードの発展型。BigQueryとの連携でここまでできる

データポータルにおける比較条件。前週同曜日に該当するような項目がありません。

上記の画面のとおり、比較条件は以下のようになっています。

  • 絶対指定......特定の日付と比較
  • 前の期間......同条件の前の期間と比較
  • 前年......前年と比較
  • なし
  • 詳細設定

週次や月次のデータであれば[前の期間]での比較が有効ですが、「今日の今」を見るときには、前日よりも前週同曜日を知りたくなります。そこで、やや変則的なTipsですが、[詳細設定]を使って「前週同曜日との比較」を実現します。

【Googleデータポータル】リアルタイム集計ダッシュボードの発展型。BigQueryとの連携でここまでできる

[詳細設定]で今日を起点とし、その「7日前」を指定することで「前週同曜日との比較」となります。

このTipsは、あくまで「今日の7日前」という指定のため、今日限定でしか使えません。カレンダーを使って集計期間の日付を変更しても、「7日前」という条件が追随されるわけではないので、その点はご注意してください。

データ提供:株式会社クレスト リテールテック事業部RETAILSCOPE