Microsoft 365向けには新関数が随時追加

表計算やデータの整理に欠かせない「Excel」の導入方法には大きく分けて2種類あります。月または年ごとの定額料金を支払って利用(サブスクリプション)する「Microsoft 365」版(旧称「Office 365」)版Excelではバージョンの表記がなく、新機能や新関数が随時追加されます。

買い切り版Excelの最新バージョンは、2018年9月発売の「Excel 2019」です。もう1つの前のバージョンは、2016年9月発売の「Excel 2016」となります。

ここでは、2020年4月現在のMicrosoft 365版Excel、およびExcel 2019/2016以降に搭載された新関数を紹介します。これら以前のバージョンで十分に充実したExcel関数が搭載されているため、新関数の数は多くありませんが、統計や検索、配列など、特定の用途で使い勝手のいい関数が追加されています。

Microsoft 365版Excel専用の関数

検索・行列関数

XLOOKUP 範囲を下に向かって検索し対応する値を返す

範囲内のデータを下に向かって縦方向に検索し、該当したセルに対応したセル範囲から値を返します。VLOOKUP関数の後継となる新関数です。

FILTER 条件に一致する行を抽出する

名簿や商品データなどの指定したセル範囲から、条件に一致するデータだけを取り出すことができます。

UNIQUE 重複するデータをまとめる

指定した範囲の重複するデータを1つにまとめたり、1回だけ現れるデータを取り出したりできます。

SORT データを並べて取り出す

指定した範囲の縦または横に並んだデータを、指定の順で並べ替えたうえでスピル配列として取り出します。

SORTBY データを複数の基準で並べて取り出す

指定した範囲のデータを、グループ順+金額順など、複数の範囲を基準として並べ替えたうえでスピル配列として取り出します。

XMATCH 検索値の相対位置を求める

指定した範囲から、検索値が何番目かを検索できます。

数学/三角関数

SEQUENCE 等差数列が入った配列を作成する

行数、列数、開始値、増分を指定することで任意の配列をスピルとして作成できます。

RANDARRAY 乱数が入った配列を作成する

指定した行数と列数に合わせたサイズの、乱数の配列を作成できます。

Web関数

FIELDVALUE 株価データや地理データの値を取り出す

任意のデータがあるサーバーに接続し、指定のフィールドからデータを取り出します。

HINTMicrosoft 365/Excel 2019の新機能「スピル」とは

Microsoft 365版ExcelとExcel 2019で利用では、配列に関する新機能「スピル」が利用できます。従来よりも簡単や操作またはシンプルな数式で配列を入力でき、SEQUENCE、RANDARRAY、FILTER、SORT、SORTBYといった新関数のほか、従来の関数からも利用できます。

詳しくは、以下の記事を参照してください。

Excel 2019以降で利用できる関数

Microsoft 365版Excel、およびExcel 2019で利用できる新関数です。

論理関数

IFS 複数の条件を順に調べた結果に応じて異なる値を返す

複数の条件を順に調べた結果に応じて異なる値を返します。従来のIF関数のネストを1つの関数で表せます。

SWITCH 複数の値を検索して一致した値に組み合わせられた結果を返す

引数として指定された複数の値を検索し、一致した値に対応する結果を返します。

文字列操作関数

TEXTJOIN 区切り記号を挿入しながら複数の文字列を連結する

複数の文字列を、カンマなどの任意の区切り文字によって連結します。

CONCAT 文字列を連結する

従来のCONCATENATE関数と同様の働きをしますが、引数としてセル範囲を指定できる、という特徴があります。

統計関数

MAXIFS 複数の条件を指定して最大値を求める

複数の条件に対応する範囲の中から最大値を返します。

MINIFS 複数の条件を指定して最小値を求める

複数の条件に対応する範囲の中から最小値を返します。

Excel 2016以降で使える関数

Microsoft 365版Excel、およびExcel 2019/2016で利用できる関数です。

統計関数

FORECAST.ETS 指数平滑法を利用して将来の値を予測する

季節性のあるデータを元に将来の値を予測したり、データを集計して予測したりできます。予測にはETS(三重指数平滑法) アルゴリズムのAAAバージョンと呼ばれる方法が使われます。

FORECAST.ETS.CONFINT 指数平滑法を利用して予測された値の信頼区間を求める

指数平滑法を利用して予測された値の信頼区間を求めます。

FORECAST.ETS.SEASONALITY 指数平滑法を利用して予測を行うときの季節変動の長さを求める

指数平滑法での予測に使われる値の季節変動の長さを求めます。

FORECAST.ETS.STAT 指数平滑法を利用して予測を行うときの各種の統計量を求める

指数平滑法で予測を行うときに使われる数式の係数や予測の精度を表す値を求めます。

FORECAST.LINEAR 回帰直線を利用して将来の値を予測する

回帰直線を使って将来の値を予測します。従来のFORECAST関数と同じ機能です。