セルフィー文化の理解

Instagramユーザーが「セルフィー」を撮る理由を知る

「自分をよく見せること」が自然と歓迎される

セルフィー(Selfie)とは自分自身を撮影する「自撮り」または「自撮り写真」のことです。2013年、英国のオックスフォード辞典が選ぶ「ワード・オブ・ザ・イヤー」で「セルフィー」が選出されました。その流行を追うように、日本でも2014年夏ごろから若い女性を中心にセルフィーがInstagramに増えています。

セルフィー自体は昔からあったものですが、メディアの特性やその場の文化によって、位置付けや価値感は変わっています。国内でmixiやTwitterがSNSの主流だった時代には、セルフィーは自己顕示欲の強い、周囲にかまってほしい人がやることというイメージが強く、出会い系サイトを連想させるネガティブな印象を持たれることもありました。「顔出し」により私生活や仕事が公開され、匿名性が損なわれるなど、プライバシーの問題を指摘する向きもあります。

しかし、現在のInstagramでは、多くのユーザーが自然に自分の写真を投稿していて、ネガティブな印象のない、新しいイメージのセルフィーとなっています。イメージが変わった理由としては、Instagramのメディアとしての特性や、投稿の目的が大きく影響しています。Instagramではおしゃれをアピールする、ビジュアルをよく見せることが当たり前に「いいこと」だとされる文化が育っていたので、ネガティブなイメージが付くことなくセルフィーが流行したのです。

かつてのセルフィーでは本人の容姿だけが注目される対象でしたが、Instagramではファッションやヘアメイク、本人の雰囲気などに注目が集まりやすいコミュティができています。自分流のファッションやメイクを見せるためにセルフィーを投稿するユーザーが増えたため、そうした投稿を「いいね!」でポジティブに評価する意識も醸成され、現在のセルフィーの文化が育っていったのです。自分をよく見せようとした写真は日常を離れたシチュエーションで撮られることが多いため、プライバシーの問題が懸念される情報が写り込むことも少なくなっています。